LPWAとは?
セルラー系と非セルラー系の違いを解説

ー メリット・デメリットと最適な通信手段の選び方 ー

IoTデバイスを企画する際に、多くの担当者が悩むのが「どの通信方式を採用すべきか」です。
その中でも特に注目されているのが LPWA(Low Power Wide Area) と呼ばれる無線通信技術です。

LPWAは「低消費電力で広域通信が可能」な技術の総称であり、大きく以下の2種類に分かれます。

セルラー系LPWA(LTE-M、NB-IoTなど)

非セルラー系LPWA (Sigfox、LoRaWAN、Wi-SUNなど)

本記事では、両者の特徴や違いを整理し、ユースケースに応じた最適な選び方を解説します。
※非セルラー系LPWAについては、規格ごとに仕様や適用範囲が大きく異なります。本記事では特定の規格ではなく共通する一般的な特徴に基づき説明しています。詳細は各規格の公式サイトなどをご参照ください。


LPWA(LPWAN)とは?

LPWA(Low Power Wide Area)もしくはLPWAN(Low Power Wide Area Network)は、低消費電力で数km〜数十kmの広域通信を実現する無線通信技術の総称です。
IoTの普及に伴い、電源がない場所でも電池駆動で数年間動作し、屋外や広範囲で利用できる技術として世界中で採用が進んでいます。

LPWAは大きく「セルラー系」と「非セルラー系」に分類大別され、それぞれ異なる強みと課題を持っています。


セルラー系LPWA


概要

・携帯キャリア(MNO)のネットワークを利用する方式

・国際標準(3GPP)に準拠

・代表例:LTE-M(LTE Cat-M1)、NB-IoT(LTE Cat-NB1)


特徴

  • カバレッジ:全国規模で利用可能、国際展開もしやすい

  • スループット:最大1Mbpsの通信が可能

  • グローバル対応:国際標準規格であり、各国キャリアがインフラ整備済

  • セキュリティが強固:通信キャリアによるモバイル網とSIMベースの認証を活用


課題

・通信費および通信モジュールが非セルラーと比べて高価であることが多い

・非セルラー系に比べると電力効率で劣る場合がある

・カバレッジ・通信規格が通信キャリア依存のため、圏外エリアの対策は困難


非セルラー系LPWA


概要

・専用ネットワークやオープン規格を利用する方式

・キャリア依存ではなく、ユーザーや事業者が独自に構築可能

特徴

  • 低コスト:モジュールおよび通信コストが比較的安価

  • 限定エリア利用に最適:農業、工場、建物内など

  • 導入柔軟性:独自ネットワークを構築できる場合もある

課題

・エリアによって強い規格が異なり、共通規格でのグローバル展開が難しい

・通信品質やセキュリティが運用環境に依存

・通信速度がセルラー系に比べて遅い

・モジュール価格や通信コストの安さが採用理由になる一方、カバレッジ面では制約が多い


セルラー系と非セルラー系LPWAの比較&メリット・デメリット

項目

セルラー系LPWA

非セルラー系LPWA

提供主体

通信キャリア(MNO)もしくはMVNO

各規格管理事業者など

規格・認証

国際標準(3GPP)

規格が複数存在

周波数帯

既存セルラー周波数帯
(ライセンスバンド)

主に920MHz帯
(アンライセンスバンド)

カバレッジ

各国通信キャリアが構築済

各規格・エリアによって濃淡あり
(事業者・自営での構築いずれもあり)

ハンドオーバー対応

LTE-M:対応
NB-IoT:非対応

一部の規格で対応

通信速度

LTE-M:最大1Mbps程度
NB-IoT:数十kbps

100bps~数十kbps (各規格によって変動)

コスト (モジュール・通信)

非セルラー系より比較的高い傾向

比較的安価

セキュリティ

モバイル網&SIM認証で強固

実装や規格に依存

メリット

・国内外の幅広いカバレッジ
・高いスループット
・移動体との高い親和性(LTE-M)

・自営構築可能(圏外の対策が可能)
・モジュール・通信価格が比較的安価

デメリット

・モジュール・通信コストが非セルラーよりも高め※1
・カバレッジ・規格ともに通信キャリア依存
・携帯のカバレッジがない圏外エリアの対策が困難

・規格・エリアによってカバレッジに制約あり
・移動体対応に向かない規格が多い
・スループットが限定的
・通信回数、通信量に制約があるケースも

※1 弊社サービス「1NCE IoTフラットレート」は非セルラーLPWAに匹敵する通信コスト及び月額課金なしの価格体系を実現しています。


ユースケース別の選び方


セルラー系LPWAが適するケース

・物流や車載機器、見守りなど動くモノ・人のトラッキング

・都市インフラ(スマートメーター、街灯管理など)

・セキュリティや安定性が特に求められるサービス

・グローバル展開を見据えているサービス

非セルラー系LPWAが適するケース

・移動の無い特定エリアのみでの利用(倉庫・工場など)

・モバイル網圏外エリア(山間部など)での利用


導入時に考慮すべきポイント

  • トータルコスト(TCO):初期費用(通信モジュール含む)+通信費+運用管理コスト

  • 通信速度・頻度・量:これらのいずれかが高い場合は非セルラー系では満たせない恐れ

  • 搭載デバイスの移動有無:デバイスが移動する場合、要ハンドオーバー機能

  • 規制・認証:グローバル展開(特に複数国展開)を見据える場合はセルラー系が有利

  • ライフサイクル設計:OTAアップデートやセキュリティ更新の容易さ

特にモジュールおよび通信コストがセルラー系LPWA導入の大きなハードルとなるケースは多く見られます。


まとめ

LPWAは「セルラー系」と「非セルラー系」に分かれ、それぞれに強みと課題があります。

・セルラー系LPWA:カバレッジ、安定性、セキュリティ

・非セルラー系LPWA:コスト、低消費電力、限定エリア利用

いずれも万能ではなく、ユースケースに応じた選択が重要です。

特にセルラー系LPWAでは 非セルラー系よりも高額な通信コストが課題となり、
「機能面ではセルラー系が最適だが、コスト面で非セルラー系を選ばざるを得なかった」ケースも少なくありません。

この点で 1NCE(ワンス)はプリペイド型のセルラーLPWAサービスを非セルラー系に並びうる価格感で提供しています。
主な特徴は以下の通りです。

これにより、これまで非セルラー系を選んでいたユースケースにおいても、セルラー系LPWAを選択肢として検討できるようになります。
通信はあくまでもインフラですが、上記の通りデバイス・ソリューションの海外展開など事業戦略に大きく影響する要素でもあり、企画段階で貴社要件にマッチする最適な通信手段を選定することが非常に重要です。

IoTデバイスの通信規格選定でお困りの方は、こちらからぜひお気軽にお問い合わせください。
他のセルラー系LPWAと弊社サービスの比較についてはこちらの記事もご覧ください。

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