UMTS(Universal Mobile Telecommunications System:ユニバーサル移動体通信サービス)は、GSMの第3世代である3Gモバイルテクノロジーとして知られています。
UMTSは、複数のユーザが同じ周波数帯を同時に共有できる広帯域符号分割多元接続(WCDMA)技術に基づいています。時分割多元接続(TDMA)技術と符号分割多元接続(CDMA)技術を組み合わせることにより、より高い容量とデータ伝送速度の向上を実現します。
UMTS機能
UMTSによって、ビデオ通話やモバイルテレビなどの機能が導入されました。特に従来のGSM技術と比較すると、電力消費を抑えながらデータ伝送速度の大幅な高速化を実現しています。このようなデータ伝送速度の向上により、UMTSは高速インターネット接続に適しています。ただし、UMTSはアイドルモードのGSMに比べて電力消費が50%多いため、IoTメーカーはトレードオフを評価した上で、バッテリー寿命への潜在的な影響を考慮する必要があります。
UMTSとデータ
上り速度と下り速度は、IoTメーカーにとって考慮すべき重要な要素です。当初UMTSは、GSMの9.6ビット/秒(Kbps)の40倍である384Kbpsという驚異的な下りデータ速度を誇っていました。さらに、GPRS(53.6Kbps)やEnhanced Data rates for GSM Evolution(GSM進化型高速データレート)(220Kbps)などのテクノロジーよりも優れていました。その後のHigh-Speed Packet Access(HSPA)、evolved HSPA(HSPA+)、advanced HSPA+などの進化によって、UMTSのデータ速度はさらに改善されています。Advanced HSPA+は、最大ダウンロード速度168メガビット/秒(Mbps)、最大アップロード速度22 Mbpsを実現可能です。
UMTSの互換性
UMTSはGSMと下位互換性があります。つまり、GSMネットワーク用に設計されたデバイスは、UMTSネットワークでも動作します。この互換性によって、既存のインフラとデバイスの再利用が可能となり、IoT導入にUMTS接続を容易に採用できます。
パケット交換ネットワークと回線交換ネットワークの比較
UMTSはパケット交換システムで動作するため、デバイスはデータを小さなパケットで宛先に送信できます。これは、専用のポイントツーポイント接続を必要とする回線交換ネットワークとは異なります。
パケット交換ネットワーク:
データは、ネットワーク上を小さなパケットで送信されます。
各パケットには、ペイロードデータだけでなく、適切なルーティングのためのアドレス情報も含まれています。
パケットは個別に送信され、異なるパスを使用して宛先に到達します。
ネットワークリソース(帯域幅など)は、複数のユーザーおよびデバイス間で共有されます。
パケット交換ネットワークの例としては、インターネット接続に使用されるIP(インターネットプロトコル)ネットワークが挙げられます。
回線交換ネットワーク:
通信セッションの間、専用の通信パスまたは回線が2つのエンドポイント間に確立されます。
無音状態やデータ伝送がない場合でも、会話全体にわたって回線は確立されたままになります。
回線交換ネットワークの例には、従来の電話網も含まれます。
IoTにおける活用例
UMTSは4G LTEと比較して消費電力が低く、GSMよりも高速なデータ伝送速度を実現しているため、IoTメーカーから好まれています。。UMTSインフラは、主に携帯電話用に設計されており、大半のIoTデバイスとは接続ニーズが異なります。Narrowband IoT(NB-IoT)ネットワークやLow Range Wide Area Network(LoRaWAN:低範囲広域ネットワーク)などの代替オプションが、マシンツーマシン(M2M)接続専用に開発されています。