LTE-M と NB-IoT
)
IoTデバイスをインターネットにつなぐ方法はいくつもあります。その中でも「NB-IoT」と「LTE-M」は、特に低消費電力で広域カバレッジを実現できる次世代モバイル通信規格として注目を集めています。
どちらもLPWAN(Low Power Wide Area Network)に属し、バッテリー駆動のデバイスを長期間運用するのに適しています。
ただし、両者は得意とするユースケースが異なります。本記事では、NB-IoTとLTE-Mの特徴を比較し、日本での代表的な利用シーンを交えながら「どちらを選ぶべきか」を整理します。
NB-IoTとは?
NB-IoT(Narrowband IoT)は、Cat.NB1とも呼ばれ、英語の意味の通り非常に狭い帯域を使った省電力通信規格です。
通信速度:送受信最大128kbps
移動には不向き:デバイスが基地局をまたぐ移動をした際にシームレスに通信を行うハンドオーバー機能には対応していません。
特徴は以下の通りです:
・シンプルな通信に強い:温度計や消費量メーターなど、定期的に小さなデータを送る用途に最適。
・大規模な同時接続:数十万台規模のセンサーを1つの基地局に収容可能。
・低コスト:通信モジュールが安価で、導入しやすい。
主な活用例
スマートメーター(水道・ガス・電気)
スマートライティング(街灯)
農業IoT(温湿度管理や土壌モニタリング)
国内通信キャリアの対応状況:ソフトバンクと楽天モバイルの2社が提供しています。
通信速度は限定的かつ移動する物には不向きな通信規格ですが、その代わりに広いカバレッジと低消費電力を実現した規格です。
LTE-Mとは?
LTE-M(LTE Cat M1)は、LTE技術をベースにしたモバイル通信規格です。NB-IoTよりも高機能で、リアルタイム性が求められるシーンに適しています。
・高速データ転送:最大1Mbpsと、NB-IoTよりも大きなデータを短時間で送信可能。
・移動体通信に対応:セル間の切り替え(ハンドオーバー)がシームレスで、移動中も通信が途切れにくい。
・低遅延:リアルタイムに近いデータ処理が可能。
・省電力性も維持:NB-IoTほどではないものの、他のセルラー通信規格に比べると十分低消費電力。
主な活用例
車両や物流トラックのトラッキング
ウェアラブル端末(スマートウォッチ、ヘルスケア機器)
モバイル決済端末
国内通信キャリアの対応状況:NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社が提供しています。
「動きながらリアルタイムにデータをやり取りしたい」ユースケースに最適です。
NB-IoT vs. LTE-M 比較まとめ
項目 | NB-IoT | LTE-M |
|---|---|---|
データ速度 | 数十〜数百Kbps | 最大1Mbps |
消費電力 | 非常に低い | 低い(NB-IoTよりは高い) |
カバレッジ | 屋内や地下などにも到達しやすい | NB-IoTには劣る |
移動体通信 | 非対応 | 対応 |
無線でのファームウェア更新 | 非対応 | 対応 |
通信・モジュールコスト | 安価 | NB-IoTより高め |
主な用途 | スマートメーター、農業、固定型センサーなど | 車両トラッキング、アセット管理、ウェアラブルデバイス |
選び方は?
選び方の目安はシンプルです:
固定設置型で小さなデータを長期間送る → NB-IoT
移動する機器やリアルタイム性が必要 → LTE-M
また、デバイスの展開エリアも考慮する必要があります。GSMAの情報によるとNB-IoTは東欧やロシアで一般的な一方で、西欧やアメリカ、オーストラリアでは両方の通信規格が使えることが多くなっています。
このようにユースケースと展開エリアの両軸を考慮することで比較的容易に選定することができます。
1NCEが提供するソリューション
IoTを導入する企業にとって、技術の違いを理解したうえで最適な選択をするのは大切ですが、「通信方式ごとにSIMを使い分ける」のは大きな負担です。
1NCEの IoTフラットレート なら、国や地域によって利用できる通信規格は異なりますが、2G/3G/4G/NB-IoT/LTE-Mの全てを1枚のSIMで対応しています。(日本では4GとLTE-Mに対応しており、NB-IoTは非対応です)
日本国内だけでなく、グローバル展開を見据えたIoT導入にも安心です。
170以上の国・地域をカバー
日本を含む多くの国でマルチキャリア対応(日本では2キャリアに対応)
シンプルな料金体系(10年一括2,000円+SIMカード代)
まとめ
NB-IoTは「長寿命・低容量通信・固定型のデバイス」に最適
LTE-Mは「モバイル・リアルタイム・低~中容量通信」に最適
1NCEのSIMならほぼすべての通信規格に対応しており、地域・用途に合わせて柔軟に選択可能
IoTプロジェクトを計画する際は、用途や設置環境に合わせてNB-IoTとLTE-Mを使い分けましょう。そしてどちらを選んでも安心して展開できるよう、通信基盤はシンプルに整備することが成功の鍵です。
IoTデバイスの通信手段についてお困りの際は、こちらからお気軽にお問い合わせください。
ニュースレター