APN(Access Point Name)は、スマートフォンやタブレットなどの端末がセルラーネットワークを通じてインターネットに接続したり、プライベートネットワークに接続したりするためのゲートウェイです。デバイスとネットワークの間のデータ伝送と通信を簡素化するとともに、ネットワーク接続のタイプを決定し、セキュリティ対策を提供します。
接続設定はアクセスポイント名(APN)で定義します。APN名はMNOごとに固有であるため、キャリアが変更されるたびに新しいAPNが必要になります。
APNは例えば「Internet.mcc310.mnc070.3 gppnetwork.org」のような形で、ゲートウェイに関する基本的な情報が含まれています。
APNの構成
APNは次のようなフォーマットのセットで構成されています。
ネットワークID:ゲートウェイが接続する外部ネットワークを示します。
オペレーターID:ゲートウェイに関連付けられたMNOを示し、数字3桁で表されるMNCとMCCで構成されます。
データ標準:APNの末尾は「.gprs」や「.3gppnetwork.org」などの特定のデータ標準になります。
基本的なAPNタイプについて
APNには主に2つの種類があります。
パブリックAPN:使用可能なアドレスのプールから動的にIPアドレスが割り当てられ、デバイスがインターネットに接続できます。このときIPアドレスは接続セッションごとに変化し、デバイスが接続不要になるとプールに戻ります。パブリックAPNには、静的IPアドレス付きパブリックAPNと呼ばれるサブタイプもあり、各接続プロセス中に固定IPアドレスが設定されます。
プライベートAPN:パブリックAPNと比較して、より高度なセキュリティとカスタマイズオプションが提供されます。プライベートAPNは、企業向けデバイスで採用され始めています。プライベートAPNを利用すると、アクセス用Webページのフィルタリングだけでなく、特定のパスワードも必要になります。通常、プライベートAPNに関連するデバイスは、使用可能なプールから動的にパブリックIPアドレスを取得します。ただし、リモートプライベートネットワークに接続する際と同様、静的プライベートIPアドレスを取得することも可能です。
APNとVPNの比較
これら2つは別の概念です。
プライベートAPNは、キャリアのセルラーネットワーク内のゲートウェイの識別子の一種で、特定のポリシーを適用することもできます。インターネットへのアクセスを許可したり禁止したりすることもできます。
VPNはインターネット接続に基づいて動作し、2つの異なるネットワーク間に安全な接続を確立します。VPNはインターネット上で伝送されるデータを暗号化し、インターネットパスよりも高度なセキュリティを確保します。
APNは異なるIPアドレス空間の顧客を分離し、IoTメーカーのリモートアクセスにおける動的IPアドレスの課題への対処に役立ちますが、代替ソリューションも利用可能です。
APNで接続を確立するには、デバイスでAPN設定を行う必要があります。一方VPN設定には、暗号化、サーバアドレス、および認証クレデンシャルの設定が含まれます。APNはセルラーネットワークに固有のものであるのに対して、VPNはさまざまなタイプのネットワークでリモートアクセスとデータ保護のために使用できます。
APNの変更方法
デバイス上のAPN追加や変更は、通常、手動で行う必要があります。APN設定は通信事業者のホームページや管理アカウントから取得できます。必要な情報にはAPN名、ユーザー名、IPアドレス、パスワード、データローミング設定などがあります。